スマホ保険ラボの編集長D部長です。
空前のサウナブーム、そして岩盤浴の人気はとどまるところを知りません。「整う」という言葉が定着し、休日はスパ施設で汗を流してリフレッシュする。そんなライフスタイルが当たり前になってきました。
そこで必ず出てくるのが「サウナや岩盤浴中もスマホを見たい」という欲求です。
Netflixでドラマを見たり、Kindleで読書をしたり、あるいは好きな音楽を聴きながら汗をかきたい。D部長もよく岩盤浴に行くので、気持ちはよく分かります。
しかし、結論から言います。
サウナや岩盤浴へのスマホ持ち込みは、「壊れても文句が言えない」とても危険な行為です。
「防水だから大丈夫でしょ?」「ジップロックに入れれば平気」と思っているなら、その考えは今日で改めてください。
本記事では、「なぜサウナでスマホが壊れるのか」という仕組みから、「どうしても持ち込みたい場合の対策」、そして「万が一、故障してしまった際に数十万円の出費を防ぐための「保険」の選び方」まで、プロの視点から詳しく解説します。
*今回は持っている人が多い、iPhoneを例に解説をしていきます。
スマホがサウナ・岩盤浴で「壊れる」理由

多くの人が誤解していますが、スマホの故障原因は「水没」だけではありません。
サウナや岩盤浴という特殊な環境では、もっと恐ろしい現象があなたのスマホを蝕みます。
「熱」によるバッテリーの膨張と基板損傷
スマートフォンに使われているリチウムイオンバッテリーは、熱にとても弱いです。Appleなどのメーカーは、iPhoneの動作推奨温度を「0°C〜35°C」と定めています。
一方で、サウナ室内の温度はどうでしょうか。ドライサウナであれば80°C〜100°C。岩盤浴でも40°C〜60°Cはあります。推奨温度の上限をはるかに超えているのが現実です。
熱暴走が起こるとどうなる?
・化学反応の暴走: 高温下ではバッテリー内部の電解液がガス化し、内圧が高まります。これが「バッテリー膨張(パンパンになる現象)」の原因です。
・セーフティ機能の作動: 最近のスマホは「高温注意」の警告を出して強制シャットダウンしますが、これはあくまでソフトウェア的な防御です。ハードウェア自体はすでに高温にさらされています。
・基板のハンダ割れ: 金属は熱で膨張し、冷えると収縮します。急激な温度変化(サウナ・岩盤浴→冷却室での休憩など)を繰り返すことで、内部基板の細かい接合部(ハンダ)にヒビが入り、ある日突然電源が入らなくなります。
「結露」による水没
「ジップロックに入れているから湿気は大丈夫」
これも大きな間違いです。問題は外からの水分ではなく、内部の空気です。
スマホ内部にもわずかな空気(湿気を含んだ空気)が存在します。高温のサウナ室で温められたスマホを、涼しい脱衣所や休憩スペースに持ち出すとどうなるか。冬場の窓ガラスと同じ現象が、スマホの内部で起こります。
内部の空気が急激に冷やされ、基板の上で「結露」が発生します。防水機能が完璧なスマホであっても、内側から発生する水分は防げません。この水分が回路をショートさせ、サビを引き起こします。
これを「内部結露」と呼び、修理業者泣かせの故障原因となっています。
編集長私も過去に修理業に8年ほど携わっており、その際に水没した記憶がないのに中で水没してしまっているiPhoneやその他スマートフォンを多く見てきました。その一部が結露などによるものもあり、その影響で電源が入らなくなって修理をする方も多かったです。
防水性能は過信しすぎると良くない
「iPhoneはIP68等級の防水だからお風呂でも使える」
この表記を過信してはいけません。IPX8などの防水テストは、あくまで「常温の真水」で行われています。以下の条件はテストに含まれていません。
・お湯: 温度が高いとゴムパッキンや接着剤が緩み、気密性が低下します。
・蒸気: 水分子よりも細かい水蒸気は、パッキンの隙間を通り抜けて内部に侵入します。
・塩分・ミネラル: 汗や温泉成分は、充電端子を急速にサビさせます。
つまり、サウナや岩盤浴は、スマホメーカーが想定する「防水」の範囲外なのです。
実際に起こる故障のパターン

では、実際にサウナ愛好家たちが経験した故障の例を見てみましょう。
ケース1:Face ID(顔認証)が使えなくなる
iPhoneの上部にある「TrueDepthカメラ」システムはとても繊細です。内部結露により、最初に壊れるのがこの部分であることが多いです。
「少し水滴がついただけ」と思っても、Face IDが二度と使えなくなり、パスコード入力の生活を余儀なくされます。修理また本体交換が必要で、高額な費用がかかります。
ケース2:リンゴループ(起動不良)
基板のショートにより、Appleのロゴがついたり消えたりを繰り返す「リンゴループ」に陥ります。こうなるとデータの取り出しは難しいです。バックアップを取っていなければ、思い出の写真も連絡先もすべて失います。
ケース3:充電ができなくなる
充電ポートに汗や湿気が入り込み、端子がサビます。「Lightning/USB-Cコネクタで液体が検出されました」という表示が消えなくなり、最終的には充電ができなくなります。ワイヤレス充電でしのぐしかなくなりますが、それ基板へのダメージが進めば使えなくなります。

スマホの耐熱ケースは有効か?

「サウナ用の耐熱ケースってないの?」と思う方もいるかもしれません。
結論から言うと、サウナで使える「耐熱ケース」というジャンルの製品は、現時点ではほぼ存在しません。
市販されているスマホ用の冷却グッズとしては、背面に貼り付けるタイプの冷却ファンや、ペルチェ素子を使った冷却パッドなどがあります。これらはゲームプレイ中などにスマホ内部から発生する熱を外に逃がすためのもので、長時間の使用でスマホが熱くなるのを防ぐ目的で作られています。
しかし、サウナの環境ではこれらの冷却グッズは役に立ちません。理由は単純で、周囲の空気自体が80°C〜100°Cという高温だからです。冷却ファンを回しても、熱風をスマホに当てているだけ。むしろ逆効果になる可能性すらあります。
断熱材で覆うタイプのケースも考えられますが、スマホは使用中に自ら熱を発生させます。断熱ケースに入れると、スマホ自体が発する熱が逃げられなくなり、内部温度がさらに上昇してしまいます。つまり、外からの熱は防げても、中からの熱で自滅するという結果になりかねません。
サウナという環境は、あらゆる冷却・断熱の手段が通用しない、スマホにとって最悪の条件が揃った場所なのです。「専用ケースがあれば大丈夫」という期待は、残念ながら捨てた方がいいでしょう。
それでも持ち込みたい人への「悪あがき」対策

リスクを理解した上で、それでも「岩盤浴で音楽を聴きたい」という方のために、少しでも生存率を上げるための対策を紹介します。ただし、おすすめはしません。あくまで自己責任の範囲で行う延命措置と考えてください。
タオルでグルグル巻きにする
熱を直接伝えないことが最優先です。スマホをタオルで何重にも巻き、断熱します。操作はできなくなりますが、ポッドキャストや音楽を流しっぱなしにするならこれでも対応可能です。絶対に本体を裸で置いてはいけません。
D部長も持ち込み可能な岩盤浴ではこの対策で乗り切っていましたが、長時間入る予定のサウナや温度が高い岩盤浴室では外に置いておいた方がいいでしょう。
スマホを冷却する時間を設ける
10分サウナに入ったら、スマホは30分休憩させる。人間よりもスマホの方が熱に弱く、回復に時間がかかります。本体が熱くなっていると感じたら、すぐに使用を中止し、常温(冷蔵庫などはNG、結露します)で冷ましてください。
古いスマホを「サウナ専用機」にする
これが最も現実的な方法です。メインのiPhone 15などを持ち込むのではなく、機種変更して使わなくなった古いiPhone 8などをWi-Fi専用機として持ち込みます。これなら、最悪壊れても精神的・金銭的ダメージは最小限で済みます。
故障した時の現実:修理代金はいくらかかる?

対策をしていても、壊れる時は壊れます。では、水没や熱による故障(全損扱いになることが多い)の場合、修理代はいくらになるのでしょうか。
Apple Storeでの保証対象外修理(AppleCare+未加入時)の価格例を見てみましょう。(2025年時点の概算)
iPhone 15 Pro: 約10万円〜11万円
iPhone 14: 約8万円〜9万円
Apple Watch Series 9: 約4万5,000円〜
驚くほど高額です。最新のハイエンドモデルであれば、修理するだけで10万円を超えます。中古の原付が買える金額が、一瞬のサウナで消え去るのです。
あと、先ほどはiPhoneなどのスマートフォンを持ち込みしないようにということでしたが、Apple Watchなどのスマートウォッチも持ち込むと高温になるので危険です。

【故障した時の保険】モバイル保険とAppleCare+の徹底比較

「高額な修理費は払えない。でもスマホは持ち込みたい」
そんな矛盾する願いを叶える唯一の方法が、適切な「保険」への加入です。
ここでは、スマホユーザーの二大選択肢である「AppleCare+」と「モバイル保険」を比較します。
特にサウナユーザーにとっては、どちらが「使える」保険なのか、詳しく見ていきましょう。
AppleCare+(アップルケアプラス)
iPhoneユーザーなら購入時に必ず案内される、Apple純正の保証サービスです。
メリット:
デメリット:
モバイル保険
さくら少額短期保険株式会社が提供する、スマホなどのモバイル機器専用の保険です。近年、コスパの良さから加入者が増えています。
メリット:
デメリット:
編集長かれこれ5年ほど加入しているのがモバイル保険になります。
iPhone、MacBook、Apple Watchの3台を登録しており、やはり複数台を1つの保険でカバーできるのは楽ですし、高額なデバイスを持っている身からすれば安心材料になります。ゲーム機を持っている場合はゲーム機を入れたりもできるので、幅広く補償してもらえるのにメリットを感じています。
サウナで最も壊れやすいのは実はApple Watchやイヤホンだったりします。これらを「ついで」に補償できるのは、モバイル保険だけの強みです。
比較表:AppleCare+ vs モバイル保険
サウナ・岩盤浴ユーザーの視点で、両者を比較表にまとめました。
| 項目 | AppleCare+ (iPhone 15 Pro例) | モバイル保険 |
|---|---|---|
| 月額料金 | 約1,580円(端末ごとに必要) | 700円(3端末合計) |
| 登録可能台数 | 1契約につき1台 | 1契約で3台まで |
| 自己負担金(水没時) | 12,900円 | 0円(補償限度額内) |
| 年間補償限度額 | 回数無制限(ただし自己負担あり) | 最大10万円(主端末)※修理不能時は25,000円 |
| バッテリー交換 | 80%未満で無料 | 対象外 |
| 修理場所 | Apple Store、正規代理店 | 正規店、街の修理店どこでも可 |
| 紛失・盗難 | 盗難・紛失プランにより対応 | 盗難のみ対象(紛失は対象外) |
結論:
- AppleCare+: 「お金に糸目はつけないから、最高のサポートと純正交換品が欲しい」「紛失するのが怖い」という人向け。
- モバイル保険: 「月々の固定費を下げたい」「Apple Watchやイヤホンもまとめて守りたい」「修理費にお金を払いたくない」という人向け。
よくある質問(FAQ)
サウナとスマホに関する、よくある疑問にお答えします。
- ジップロックを二重にすれば絶対安全ですか?
-
いいえ、絶対ではありません。二重にすれば水の侵入リスクは減りますが、「熱」は防げません。
また、内側と外側の温度差による「結露」はジップロックでは防げないため、内部からサビるリスクは残ります。あくまで「裸で持ち込むよりはマシ」というレベルです。 - サウナの後、水風呂に入るときはスマホをどうすればいいですか?
-
絶対にスマホと一緒に水風呂に入らないでください。また、サウナ室の前に置く場合も注意が必要です。
熱くなったスマホが急激に冷やされると、内部の気圧差で水分を吸い込んだり、結露が発生したりします。常温の脱衣所ロッカーに戻すのがベストです。
また、岩盤浴にある冷却室でも同じです。 - Apple Watchの「防水ロック」を使えばサウナも平気ですか?
-
誤解が多いですが、「防水ロック」は画面の誤操作を防ぐ機能であり、防水性能を上げる機能ではありません。Apple WatchもiPhone同様、高温蒸気には弱いです。
特にサウナの熱で接着剤が溶け、画面がパカッと外れてしまう事例も報告されています。 - 万が一水没した時、乾燥剤と一緒に袋に入れると直りますか?
-
一時的に復活することはありますが、内部の不純物(ミネラルなど)は残ります。
乾燥しても、残ったミネラルが後々サビの原因となり、数ヶ月後に突然動かなくなることもあります。水没した場合は、電源を入れずにすぐ修理店で見てもらうのが最善です。
まとめ
サウナや岩盤浴にスマホを持ち込むことは、メーカーの想定外の使用方法であり、故障リスクと隣り合わせの行為です。
・熱と結露は防げない: 防水スマホでもサウナは危険地帯。
・修理費は高額: 最新機種なら10万円コース。
・対策は限定的: タオルやケースも完全ではない。
それでも「デジタルデトックスなんて無理!スマホと整いたい!」という方は、必ず保険に入りましょう。
特に、iPhoneだけでなくApple Watchなども愛用しているサウナユーザーには、月額700円で3台を守れる「モバイル保険」が、コストパフォーマンスの面でとても理にかなった選択肢となります。
サウナで汗を流してスッキリしたのに、スマホが壊れて顔面蒼白…なんてことにならないよう、事前の準備という「保険」をかけて、心置きなくサウナライフを楽しんでください!
